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新型コロナワクチンについて vol 3|久が原ファミリークリニック|小児科・内科 |大田区久が原・池上

新型コロナワクチンについて vol 3

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vol 1では「新型コロナワクチンの基本的な知識について」
vol 2では「日本で使用される予定のワクチン3種類の効果や、なぜこんなに早く開発・承認されたのか」

について解説しました。

vol 3では「ワクチン接種による副反応、アナフィラキシー」について解説します。

 

 

ワクチンの副反応

現時点で分かっている副反応は、インフルエンザワクチンなどの他のワクチンと同じような症状のみです。
次に説明するアナフィラキシー以外にひどい副反応は今のところ報告されていません。
いずれの副反応も数日、長くても1週間以内には自然軽快すると報告されています。

 

しかし、上図の様にその他のワクチンと比べて副反応の頻度が高くなっています。
それを事前に知っておくことや、接種スケジュールをご自身の予定に合わせて調整する必要があるでしょう。

 

上記の副反応は軽度であればゆっくり休んで経過を見ましょう。発熱に関しては解熱剤を使用することができます。
症状が非常に強い時や、1週間以上経過してから症状が出た場合には接種医療機関やかかりつけ医に相談しましょう。
1ヶ月以上経過してからの症状は基本的にワクチン接種と関係ない可能性が非常に高いです。

 

 

アナフィラキシーについて

アナフィラキシーとはひどいアレルギー反応のことで、アレルギー症状が2つ以上の臓器(多くは皮膚の症状+他の臓器)に出てしまうものです。
口やノドの粘膜が腫れて息が苦しくなったり、血圧が下がって意識が悪くなったり、ひどい腹痛や下痢を起こしたりします。

 

それぞれのワクチンにおける接種100万回あたりのアナフィラキシーの発症数は上記の通りです。
アナフィラキシーによる死亡の報告はありません。
インフルエンザなどの既存のワクチンに比べると多い数字ですが、我々が普段よく使っている鎮痛剤や抗生物質などに比べると非常に少ない割合です。

 

ほとんどが接種15分以内(長くても30分以内)に発症しており、接種後少なくとも15分以上は様子を見るべきです。
アナフィラキシーを起こした中で、約80%の人はアレルギーの既往があると報告されています。
そのため他のワクチンや薬などにアレルギーがある人は特に注意が必要でしょう。

 

 

何に対してのアレルギーに注意が必要?

新型コロナウイルスワクチンに含まれる「ポリエチレングリコール(PEG)」
PEGに交差反応性を持つ「ポリソルベート」
に対して重いアレルギー反応を起こしたことがある人への接種は推奨されません。

 

日本で承認されているPEGを含むワクチンは、ファイザー社製の新型コロナワクチンが初めてです。
PEGは一般に大腸内視鏡検査の際に使用する下剤や、その他様々な医薬品に添加剤として含まれています。

 

ポリソルベートも同様に複数の医薬品に含まれています。
なおワクチンでは、インフルエンザワクチンやポリオワクチン、ロタウイルスワクチンなどに含まれています。

 

それらのワクチンや医薬品でアナフィラキシーを起こしたことがある方は接種できません。
ワクチン、薬剤、食物や花粉症などのアレルギーへの対応(米国の疾病予防管理局の推奨)は以下の表の通りです。

 

 

医薬品に含有されている添加剤は、各々の医薬品の添付文書で確認することができます。
アレルギーをお持ちの方は必ず接種前にご自身でも調べるようにしましょう。

 

 

まとめ

新型コロナワクチン、とくに mRNA は分解されやすく長期間細胞内に残存することはなく、
またヒトの染色体に組み込まれることもないため、比較的安全性は高いことが予想されます。
しかし、mRNA を今後繰り返し投与 する場合の安全性や 長期的な安全性はまだ明らかになっていません。
いずれのワクチンも初めての試みですので、どのような副反応がどのくらいの頻度でみられるのかを理解し、接種後の健康状態をよく観察しておくことが 重要です。

 

 

vol 3は以上です。
vol 4では「ワクチンに関してまだ分かっていないこと」について解説します。