伝染性紅斑(りんご病)|久が原ファミリークリニック|小児科・内科 |大田区久が原・池上
伝染性紅斑(りんご病)
Erythema infectiosum
Erythema infectiosum
伝染性紅斑とは、ヒトパルボウイルスB19を病原体とする感染症であり、りんご病とも呼ばれています。幼少児(2~12歳)に多いですが、乳児、成人が罹患することもあります。
日本人の成人の40〜60%はパルボウイルスB19の抗体を持っています。一度パルボウイルスB19に感染すると免疫(終生免疫)が獲得できます。抗体を持っていない方は、お子さんなどからうつる可能性があります。
発熱や頭痛、倦怠感などのかぜ症状が子どもより強い傾向がある
頬が赤くなることは少なく、なってもほてる程度
手足に網目状あるいはレース状の発疹やむくみ
関節炎や足の浮腫みの訴えが高確率(女性は60%、男性は30%)
関節炎症状が強く、1〜2日歩行困難になることもある
患者さんの咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスによって感染する飛沫感染、飛沫が付着した物に手が接触し、その手を介してウイルスを口、目、鼻などの粘膜から取り込むことで感染する接触感染が主な感染経路です。
頬に発疹が出現する7〜10日くらい前に、微熱や風邪症状が見られることが多く、この時期にウイルスの排泄量が最も多くなりますが、この時期に診断することは非常に困難です。発疹が現れたときにはウイルスの排泄はほとんどなく、感染力はほぼ消失しています。
伝染性紅斑(りんご病)に特効薬はなく、症状に応じた対症療法が行われます。ウイルス排泄期には特徴的な症状を示さないため、現実的には感染予防対策をとるのは困難です。発疹が現れた時期には感染力がないため、二次感染予防策も必要ありません。現在のところ有効なワクチンもありません。
妊娠中(特に妊娠初期)に感染した場合、まれに胎児の異常(胎児水腫)や流産が生じることがあるため注意が必要です。妊婦さんは、流行時期に感冒様症状の者に近づくことを避け、万一感染した場合には、胎児の状態を注意深く観察する必要があります。
また、先天的な溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症など)の背景疾患があると急激に貧血が進行したり、汎血球減少と呼ばれる白血球と血小板を含めた血球の減少がみられることがあります。