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新型コロナワクチンについて vol 1|久が原ファミリークリニック|小児科・内科 |大田区久が原・池上

新型コロナワクチンについて vol 1

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新型コロナワクチンに関して、1日でも早く接種したいという方や、逆に日々いろいろな情報が飛び交っていて、何が正しいのか?本当に打って大丈夫なのか?と不安に思っている方など様々だと思います。

 

私の基本的な姿勢としては「新型コロナワクチン接種を推奨」します。

 

ここでは、少しでも接種に関して不安を取り除けるように、ワクチンに関して今わかっていること、わかっていないこと、をシリーズに分けて解説したいと思います。

 

まずはコロナウイルスの仕組み

 

コロナウイルスの表面にはスパイクタンパク質と呼ばれるトゲがあります。このトゲがコロナ、すなわち王冠、のように見えるのでコロナウイルスと呼ばれています。このトゲが人の細胞にある受容体(鍵穴のようなもの)にくっつくことでウイルスが細胞の中に取り込まれてしまいます。

 

<感染の仕組み>

①トゲが人の細胞(主に鼻や目、口などの粘膜)にある受容体(鍵穴)にくっついて、体内に侵入します。
②ウイルスは人の細胞内に遺伝情報(ウイルスを作るレシピ本のようなもの)を放出します。
③レシピ本を取り込んでしまった人の細胞は、細胞内で大量にウイルスを作りだしてしまいます。
④大量に産生されたウイルスは人の細胞を破壊して、次の細胞を狙い入り込みます。
⑤これを繰り返すことで、ノドや肺の細胞を破壊していきます。

 

抗体とは?

①ウイルスに感染すると、トゲの形に合った「抗体」を産生します。
②同じウイルスが再度侵入すると、抗体がトゲに付着し細胞への侵入を阻止します。
これを「免疫がついた」というわけです。

 

今までのワクチンの原理

今までのワクチンには「不活化ワクチン」「弱毒生ワクチン」とがありました。

 

「不活化ワクチン」は、ウイルスをバラバラにして「トゲ」を含む部分を大量に作って接種することで抗体を作り出す、
という理論から作られています。このワクチンを作るには、バラバラにするもとのウイルスが大量に必要になります。
ウイルスを大量に培養する技術の確立に時間がかかります。現在、数種類の新型コロナウイルスの不活化ワクチンが治験段階にあります。

 

「弱毒生ワクチン」は、試験管の中でいろいろな方法でウイルスの培養を繰り返します。
その過程の中で、偶然産まれた弱くなったウイルスをワクチンとして利用します。
偶然に頼るのでいつできるかは分かりません。現在、新型コロナウイルスの効果的な弱毒株はありません。

 

新型コロナワクチンの原理

 

 

新型コロナワクチンは、今までのワクチンとは全く異なる方法で作られています。20年ほど前から開発が進められていた方法です。
人の細胞にくっつくトゲの部分を作っている遺伝情報部のコピー(mRNA)を抜き出して、それを接種し人の細胞の中でトゲの部分を作り増殖させる、というものです。

 

トゲの部分の遺伝情報部のコピーだけをワクチンにしたものがmRNAワクチン
トゲの部分の遺伝情報部のコピーを他の無害なウイルスの遺伝情報部に組み込んだものがウイルスベクターワクチン

 

mRNAワクチンは非常に不安定なので超低温での保存が必要です。
それを安定化させるために作られたのがウイルスベクターワクチンです。

 

日本で使う新型コロナワクチンの種類

 

 

 

 

 

 

 

 

日本で使用される予定のワクチンは現時点で3種類です。
すでに医療従事者に先行接種が始まっているファイザー社の「コミナティ」、その他モデルナ社のワクチン、アストラゼネカ社のワクチンです。
前者2つはmRNAワクチン、残る1つはウイルスベクターワクチンです。

 

vol 1は以上です。
vol 2ではそれぞれのワクチンの効果や、早く開発・承認されたわけについて説明したいと思います。